決算発表と株式市場の怪

続々と09年3月期の決算が発表されていますが、概ね 売上4割減、利益が9割減または赤字といったパターンのようですね。
それらの中でいくつかピックアップしてみますと、
【三菱電機】  前期 純益92%減少 7期ぶりに最終赤字(200億円)
【キャノン】  純益 83%減
【日立】    過去最高 8000億円の赤字
【富士通】   最終赤字1123億円
【富士フィルム】初の営業赤字(900億円)となり、上場来初の赤字
【電通】    前期 200億円の赤字(初)、単独は100年ぶりの赤字
オリエンタルランド】入場者数過去最多、営業利益過去最高 400億円(30%増)
任天堂】   売上高10%増、純利益過去最高 2790億円(8%増)
【三井住友FG】 3900億円の赤字
【みずほFG】  5800億円の赤字
百十四銀行】 赤字転落
青森銀行】  赤字拡大 132億円赤字
【大分銀行】  赤字転落 232億円赤字
【野村証券】  過去最悪 7094億円赤字
大和証券】  850億円赤字

金融界の惨状は予想通りでしたが、いくつか気になる企業としては「赤字1兆円に届かんとする日立」「不敗神話が崩れた富士フィルムと電通」ですね。
特に富士フィルムの不敗神話は長らく語られておりましたから、昔を知る者としてはいささか・・・ですね。また電通の不振はあのバブル期ですら赤字回避を実現してきた企業がこの金融不況ばかりは直撃を受けたことを表しています。今後同社の市場の急回復は難しいところでしょう。
ところが、GW明け7日の株式市場は年初来高値をつけて「回復への期待や金融不況の後退感」を示したと報道されておりますが、如何お感じですか?
これだけ決算情報が惨憺たる内容であれば株式市場が活況を呈する訳はないのですが・・・
 
先ずその前に
1、資金供給量(マネタリーベース)が95.6兆円に達し1年前に比べ8.2%も急増したと日銀が発表。
2、消費者物価指数は、0.2%下げ
株価対策もあり、日銀は積極的に市場へ資金を供給し続けております。そのペースはかなりの激流とも言えるほどです。
その中でも実は着々とデフレは進行しており、物価指数を押し下げております。
金はあっても買うものがない、または安くなければ買わないということですね。
 
そこで実体経済へ向かわない資金が株式市場へと向かっているのではないか?と推測するのです。
また、株価対策の為に相当量の公的年金の資金が株式市場へ投入されているのではないか?とも疑っております。
それ自体は悪いことではないのですが、バランスを誤ると将来に禍根を残すこととなりますので、要注意です。
 
いま世界的に「通貨供給量増大→株高」の流れが存在しますが、どうでしょう?実体がないのですから持って年内が限界ではないでしょうか?
今はほとんどが推測の域を出ませんが、大筋では外れていないでしょう。
バラマキは構わないのですが、着地点を考えて政策を行っているか?甚だ疑問です。やみくもに突き進むと最悪な結果を導き兼ねません。
政策側(政府、日銀)には深謀遠慮が必要で、遠くを見据えて大胆に金融政策を行って頂きたいものです。