2008年末をして2009年が見えてきた

個人的にはここ数週間で関西、九州へと飛び回っていて(遊び呆けていたとは言わないで)、幾分か浮世を忘れた感は否めませんが、気になる箇所を解説するとともに2009年を占ってみたいと思います。

キーワードは
1、多極化
2、ドル崩壊
3、中東情勢
4、南アジア情勢
5、東アジア情勢
6、バラク・オバマ
です。
これらを単純に羅列してみても、来年が如何なる年となるか想像がつくかとは思いますが・・・

1、「多極化」
従来の欧米中心からBRICs、南ア、東アジアと経済のみならず政治面でも影響を増すでしょう。これは従来から叫ばれていますので目新しいものではありません。
問題は、その多極化を米国が歓迎している点です。米は一極支配を望んでいると思われがちですが、実はブッシュ政権後半からは同盟国がそれぞれの地域で連携を深める政策に転換しております。
特にアジアでは中国主導の「中韓日同盟」を歓迎しております。それに対して日本は相も変わらず米国追随です。(六カ国協議で図らずもその醜態が垣間見えました)

2、「ドル崩壊」
恐らく2009年夏が「ドル崩壊」のXDayでしょう。しかもそのシナリオを米国自身が描いている節があります。
それまでは金が基軸として流通するでしょう。一時的な「金本位制」もどきになるとも言えます。よって、金は高騰するでしょう。第二の原油となる恐れがあります。
が、国際経済を賄えるほどの流通量は存在しませんから、やがてカオス的な通貨制度へと突入するはずです。(ドル本位→ユーロ、元、円などで取引時決済へ)
ドル崩壊は予知できます。米国債の動きを見れば察しはつきます。米国債を米国自身が買い支える時(米国債の暴落を防ぐ時)が、ドル崩壊のカウントダウンです。
多少時期は前後しても早晩必至です。(溜息

3、「中東情勢」
イスラエルが、12月27日ガザ地区への空爆を開始しました。空爆自体は今に始まったことではありませんが、今回が第三次中東戦争(1967年)以来の大規模なものという点と、イスラエル自身が「次は地上侵攻」と述べている点です。
このX'mas直後という点がミソなのです。中東の停戦期限が26日、インドがパキスタンに要求しているテロ容疑者の引渡期限が同じ26日・・・
イスラエル与党は戦争を仕掛けたくないのに、米国ネオコンに戦争へと突き落とされる姿は皮肉としか言えません。(イスラエル与党は和解を望んでいるが、イスラエル内右派に押し負けています)
今後、地上侵攻、そして「イラン空爆」が起これば、大規模な中東戦争が勃発し、米英露は巻き込まれざるを得ません。(米英は中東に根深い因縁があります)

4、「南アジア情勢」
先ほども述べましたが、去る26日インドがパキスタンに要求しているテロ容疑者の引渡期限。
パキスタンがこのまま応じなければミサイル攻撃も辞さないと牽制しております。実際、インドはこのままですと攻撃を仕掛けざるを得ないでしょう。
いくら、あのテロがヒンドゥー派の仕業だと公表されたところで、印パ間には根深い歴史が横たわっております。

中東戦争と印パ戦争のトリガーは、オバマ氏の大統領就任式が引き鉄になると思われます。もうすぐで確実に戦争が始まるでしょう。

5、「東アジア情勢」
リーマンショック以降、中国はまったく前が見えなくなってしまいました。国内経済が打撃を被り、事実工場閉鎖や休業が相次ぐ中、国内経済を立て直すことが急務で国際協調は手が出せません。
事実ここにきて数度の「元切り下げ」を実行しております。これは自国の輸出産業の保護のみを考えたものであり、この局面で切り下げを行うのは、「第二次世界大戦前夜」を彷彿させます。(事実、大戦前に恐慌が起り、各国は通貨切り下げを繰り返したのです)
今の中国には遠方を見る力はありません、足下のみ注視しております。が、その足下から崩落していくことになるのは余りにも皮肉です。

6、「バラク・オバマ
潮流はすべて「バラク・オバマ」の大統領就任のタイミングに合わせて押し寄せております。
それが「意図されたもの」であろうがなかろうが、彼はその舵取りをする運命だと思います。
悲観的に過ぎますが、彼のような若くて実力のある人間をもってしてもこの難局は打破出来ないでしょう。
すべては来年1月からドル暴落の8月まで一気に飲み干されます。おそらく来年の今頃は彼といえども支持を失い、膨大な財政赤字の中、身動きを封じられている可能性が高いですね。
ただ、それを回避する方法が存在します。心情的な面とマクロ的な面からです。
彼が行うべきは
・戦争の大規模化、泥沼化の回避
・米国への資本注入を実行し、実効すること(日中韓、サウジの協力)
の2点です。
そうすればこの潮流に呑まれることなく、歴史がいずれ彼を評価するでしょう。
残念なのは、それを実行しても経済は急激には立ち直らないので、我慢の時期を迎えざるを得ない点でしょうか?

2008年の締めくくりとしてはいささか暗い話題となってしまいましたが、我々自身が不測に備えて声高に政治家にプレッシャーを掛けていかなければ、何も変わりません。
私たちが出来ることは、「意志と意識を持たない政治家・官僚」を育てないことです。その為に50年、100年の時を費やしても我々自身がそれを実行することが大切だと思うのです。
2009年・・・私の予想が外れることが最大の喜びとなります。どうか、良い年・・・否、良き年へと変えることが出来ますよう、心より祈る次第です。
   2008.12.30 Eternal