年内には浮かぶか?恐慌の姿が

週末からのG7、G20の結果を受けて週明けの各国の市場は軒並み5%〜10%上昇しました。これで良しと思ってらっしゃる方はいないでしょう?が、一体どこへ流されていくのか?我が日本国は。
話変わって、今年のノーベル経済学受賞者であるクルーグマン教授が会見の席上こう述べています。
『米国政府は金融安定化法において最大7000億ドル(71兆円)で「不良債権」を買い取る方針だが、銀行への公的資金注入を先に行うべきだ』と。
まさしくその通りで、金融システムの安定の為には資本不足に陥ってる銀行へ資本を注入し、早期に米国内市場へ資本を行き渡らせる必要があります。
その意味においては現在のブッシュ政権は30点でしょう。ですので早晩市場は乱高下の波にさらされるのは致し方ないと思います。
   from Qtek9000
現状、米国の動きから判断するに
1、総額300兆円の公的資金注入の可否を検討している
2、その拠出は、中国、韓国、そして日本を当てにしている
3、そのために赤字国債を発行するであろう。買い手は上記3国をメインに。
4、米は、郵貯、簡保資金350兆円、日本の外貨準備高100兆円を既に狙っている。それは中韓にも同様である。
ということは、十分に推測できます。
では、それで金融システムが安定の途を辿るかと言いますと、中長期的にはかなり厳しいと言わざるを得ません。
資本注入の効果としては
1、銀行を中心とした金融界の資本増強
2、それに伴い資金を市場へ
3、最終的には、消費の拡大
と、大雑把にはそういうことです。
が、先ず2の時点で、かつての日本でのように銀行は資本注入されても貸し渋らないか?
そして、今の米国でクルマや不動産以外でローンを組んでまで需要が伸びる市場があるのか?
ということが懸念材料です。
そして、本来金融界が担うべき設備投資資金、起業資金ですが、今の米国には投資に見合うべき魅力ある産業が育成されていないということが、一番の懸念材料です。
要は、いくら資本注入して金融システムを再生しても、その先たる産業の育成、保護へと資金が向けられないのであれば長期的には帰らざる資本となるでしょう。
今の(今までの)米国は「金融産業」の国家です。ブッシュ政権でそれが顕著となりました。かのGMですら破綻の危機を迎えており、75万人規模での雇用喪失が懸念されております。
次期政権では、あらためての産業育成策が急務となるでしょう。

と、ここまでは米国中心の話ですが、かたや我が日本は本当に大丈夫なのでしょうか?
サブプライムローンを中心に、米国金融界に資金を供給し続けたのは、低利な我が日本(の金融界)です。
短期市場に資金が環流(返済)して来なければ、我が国金融界も資本不足に陥ることは明白です。ということは既に一部で経営破綻が始まっておりますが、建設、不動産を緒に各産業界が資金調達に苦慮することは避けられないですね。(銀行は既に貸し渋り、株式市場は機能不全、CP市場は機能停止)

余談ですが、この連休の報道では、東京三菱UFJモルガンスタンレーに増資するほど我が国金融界は健全だと豪語していましたが、その本当の目的は、東京三菱UFJは米国内での銀行免許を以前剥奪されたので、それを9000億円も出して再度取得したに過ぎません。余裕のなせる業ではないのです。

いずれにしても政権末期のブッシュには、積極的に取り組む意志は無さそうです。来月実施される米大統領選挙、そして次期大統領の金融政策がキーであることは間違いありません。今となってはその時間すらも惜しいのですけれどもね。