見えてきた恐慌への扉

いよいよ地鳴りと共に恐慌への扉が開かれてきましたね。
NYダウは一時$800下げ、日経平均一時1万円割れ、欧州、アジア軒並み暴落しています。と、まあここまでは誰でも予想できる話ですので‥

話は変わって昨日知人が話を聞きたいと訪ねてきました。「今後世界経済、そして日本経済はどうなるのか? それによっては自分の事業も見直さねばならない。」と。
それに対しての私の持論を少々。
リーマンショックの際、FRB議長バーナンキは「100年に一度の危機」と発しました。そんなものではありません、人類が金融史上初めて体験する規模であると断言いたします。
以前の世界恐慌では、暴落による損失額がおおよそとはいえ計ることが可能でした。今回は出口が見えないどころか自己増殖を進行するブラックホールのような恐怖感を伴う世界大不況となる可能性が極めて高いのです。
つまり
1、米国発のサブプライムローンシステムの破綻(デリバティブの恐怖)
2、ウォールストリート発の金融システムの破綻(金融会社の破綻)
3、世界同時 株式市場暴落、債権市場暴落、商品市場暴落
4、全面ドル安(対 全通貨)、金利協調下げ
5、米国債増発行に伴う長期金利の上昇(米国債暴落)
6、再 全面ドル安、金利協調下げ
7、再 世界同時株式市場暴落、債権市場暴落
8、資本、資金の供給不足→融資による資金調達不可
9、産業界への打撃、賃下げ、雇用喪失
10、負のサイクル
とのシナリオが想定されますが、いま3〜4の辺りでしょうか?

日本だけを見てみますと、今までは自動車産業を中心とした産業が堅調で日本経済を支えてまいりました。それも国内市場の落ち込み、そして最大の市場米国の消費の落ち込み、急速な円高ドル安で先行き不透明どころかお先真っ暗になってしまいました。今後は自動車関連他の輸出産業を中心に雇用喪失が拡大する恐れがあります。
そして負の連鎖。給与は上がらず、物価は上昇し、消費は低迷、一層の不況へということでしょうか。

ドイツの財務大臣は、「アメリカは国際金融システムにおける超大国の地位を失う。世界は多極化する。アジアと欧州の新たな資本のセンターが台頭する。世界は二度と元の状態(米覇権体制)には戻らない」と表明しました。
が、そんなことはどうでもよいのです。どこが覇権を握ろうが、共存共栄が図れることが第一義ですのでね。ヨーロッパは早くから米国システムの破綻を予見して今日のEUシステム、ユーロ本位主義へと移行したので、思ったよりは被害は拡大しないかもしれません。金融を除いては米国依存型経済システムではないからです。
問題は、日本、そして中国です。最大の胃袋(マーケット)たる米国が破綻し、消費が落ち込むということは共倒れの危険性を孕むからです。

では、対策はないのでしょうか?今回出来る得る最大限の行動は、「米国へ資本を米国自身が先ずは注入する。そして世界が協調して資本を注入する」ことだけです。
言うは易し‥‥です。そう簡単にはことは運ばないでしょう。欧州で拠出するのは、ほぼ英国だけでしょう。仏や独は距離を置くと思います。
我が日本は忠犬ですからね。言いなりで拠出する習慣が身についていますw
問題は、中国です。いま中国自身が経済、内政、外交諸問題で難問山積でして、どこまで米国に譲歩するか?出来るのか?まったくの未知数です。(日本と中国は外貨準備高、保有米国債では最大規模)
余談ですが、中国は都市部と農村部の格差が拡大していて一部では暴動寸前です。格差自体を容認することはイデオロギー的にも出来ませんので、五輪後は農村、地方部を中心にバラマキ型公共事業を行う予定でしたからね。(一時の日本と同じです)

問題はその先です。忠犬日本と違って無条件に拠出する訳には参りませんから、米国に対し「台湾問題への譲歩」を交換条件にするかも知れません。(中国海峡の核弾頭ミサイルの撤去?ひとつの中国の了承?)
以前の米国でしたら間違い無く拒否したでしょう。米国の政治システムへの不信をもたらしますからね。それだけは死んでも出来なかった・・・はずです。
そこで米国がどういう決断を下すかで、長期的には「第三次世界大戦の扉」となるかもしれません。そうでなくとも「米中冷戦状態」となれば、日本は二大取引先の狭間で身動きが取れず、経済的、政治的にも埋没しかねません。

そういうことまで危険性を孕んだ今回の金融不安、金融崩壊であると私自身は考えております。
図らずも今週明け世界市場で暴落があらためてスタートいたしました。金融政策の強調的、かつ迅速な対応が必要となります。最後は政治の判断です。日本の政治家にはその意識が全くといっていいほど欠如していると考えるのは私だけでしょうか?


<追記>なぜ米国金融システムへの資本注入が必要なのか?それは先ず米金融業界を建て直す。そしてその資本を米市場へ流通させる。つまりは米国民からみるとローンを組める以前の状態へ戻すことが急務です。そうすれば、ローンを組んで住宅を買い、電気製品を買い、自動車を買うというアメリカンスタイル?の復活により、米国という最大の胃袋を再び手中にし、日本と中国の輸出産業は立ち直るからです。
でも。最終的には米国本位主義から脱却しなければならないことは明白ですよね。