ドバイショック?

報道では「ドバイショック」と謳われておりますが、本当にそうでしょうか?もちろん、ドバイショックも一因でしょうが、早晩急激な円高(ドル安)は避けられなかったでしょう。
ドバイショックとは、ドバイ政府の持ち株会社ドバイ・ワールド」が、債権者に総額590億ドル(約5兆円)の債務の繰り延べを求めることが発表され、金融市場に影響を及ぼした、というものです。
本来ならば、ドバイ・ワールドの債務がドル建てである以上
金融機関は「ドル資金の手当て」を強めるためドルは一時的にせよ上昇するはずです。(実際過去はそうでした)
そうはならなかった最大の要因は、「米国がドル安容認」だからです。
 
米国は日本と同じようなデフレ構造に入っており、米国の短期金利は、日本を下回る低水準になっています。米国の低金利は今後も続く可能性が高く、ドルの上値を抑える展開が続くでしょう。ですが、米国の最大の狙い(現状の)は、ドル安による輸出の奨励です。実際8月期、9月期の貿易赤字は昨年度比半減しております。「赤字が半減」は大きいですが、オバマは出超を本気で考えていますよ。
その為の外遊(アジア訪問)でしたから・・・。その最大の狙いは中国でした。滞在日数を見てもそれは明かです。
オバマは「元の切り上げ」を要求いたしましたが、中国に無下に断られました。まあこれはここ数年のトレンドでしたので驚くには値しませんが、一国の大統領が頭を下げて、それをピシャリと断るのですから、胡錦濤はしたたかです!というより為替がもたらす影響の重さを十分に理解しているということですね。
これが我が国(特に自民時代)でしたら・・・推して知るべしです。
 
もう一つのドル安容認の側面として「米国債」の存在が挙げられます。
米国はひたすらに米国債を刷り続けねばなりませんが、その為には日中を代表として買い支えてもらわなくてはなりません。現状の「低金利・ドル安」政策を取りつづける米国を中国はひたすら買い支えております。民間の取引で言いますと、主要取引先が破綻しないように社債を買い支えている状況と言えばお分かりになりますでしょうか?
その面でも米国はギリギリのラインで「低金利・ドル安」を取り続けると見られております。
 
これに対しての我が国の方策ですが、残念ながら具体的な施策は取れないでしょうね。市場介入したところで我が国単独ではどうしようもありません。
残念ながら為替は大国(米国)に操られる歴史でもありました。今でも米英の影響力は強大です。要は大国を動かさないと「変わらない」と考えた方がいいでしょう。
となれば、先述の米国債を楯に交渉出来れば!?と考えるのですが、残念ながら草食系代議士全盛の時代です。立ち向かえるしたたかな政治家・官僚は残っていないようですね。
恐らく最後の一手は米国を脅すことしか残らないと考えています。お話し合いで済めばいいのですけどね・・・
 
結局は大国の波に呑まれるしか芸のない国との結論となりました(汗