米下院、金融安定化法案否決のその先

体調を崩しダウン気味のEternalです。
ですので手短に述べますね。
昨日、米下院が金融安定化法案を否決したのは周知の通りです。
与党共和党からも造反議員が多数出ての結果ですが、それを受けてNY証券市場は$777という史上最大の下げ幅を記録しました。
私なりに推測しますと、これは一時的なもので近々修正法案で可決されるでしょう。
ですがそうなった背景としましては
1、富裕層 VS 貧困層
  ウォール街へ巨額の公的資金を投下することへの反発
2、米大統領選挙への影響
3、米下院選挙への影響
が挙げられます。当局は、これらをクリアする必要がありました。

結論からいいますと対策は「公的資金の注入」以外にあり得ません。他に方法は無いのです。
ですが、政治家も人の子…それとこれとは別なのです。
今回の下院の否決をブッシュはむしろ歓迎している節があります。もちろんそれを受けて株価は暴落。金融界、産業界は大きなショックを受けました。
そのショックが一番欲しかったのは、誰あろうブッシュ政権です。
このままだと金融システムは崩壊する→米国産業界、米国民の資産への打撃→その対策として公的資金注入しかない このシナリオを演じたかった。(401Kを代表に自己責任システムですからね)
共和党からの造反も歓迎している節があります。民主党でなく、共和党だからいいのです。
共和党はこれで貧困層、中流階級からの支持も取り込めるかも知れません。国民感情に考慮して敢えて共和党の一部は反対票を投じたのですから。
今後は、ブッシュそして共和党はそれを強調する戦略を取るでしょう。すべては選挙のためです。

さて今後はどうなるか?信用不安を払拭するのは至難の業でしょう。昨日、中国当局は米国金融会社への資金提供を見送るよう、中国内金融グループに通達を出しました。
素直に拠出するのは英、そして日本くらいではないでしょうか?独、仏は今回の米国の対応に冷ややかです。
では本当に米国は破綻するのか?このまま行くと時間を掛けてゆっくりと倒れる可能性はあります。財政赤字拡大、ドル安、信用不安、景気の鈍化…よい材料は見られません。
ですが、一番打撃を被るのは我が日本でしょう。今日まで米国依存が強すぎました。
輸出産業、金融界は今後利益収縮となるでしょう。最大の顧客米国が低迷するのですから。
そしてドル安、米国債の格付け低下、それは米国債最大の保有国日本に大いなる打撃を与えます。投げ売る訳にもいかないところが、日米関係の辛いところです。
そして、所得(給与)低迷の中で物価高がもっと進みます。国内銀行は資金を流通させず建設・不動産を中心に倒産が相次ぐでしょう。
…と、ここまでは正夢でしょうが、これからが当局の腕の見せ所です。やれることはまだありますよ。労働分配率を上げる、つまり労働者の給与を上げる。その中で減税。原油、農産物を中心とした輸入価格の下げ。これらは政府公式見解でも述べていますがその通り実行することです。(増税論をぶっている輩は退場です。不況下での増税は悲惨な結末をもたらすことは歴史が証明しています)
今回ほどマクロとミクロの経済ミックスが必要な時はありません。省内でDVDを鑑賞したり、訳の分からない機材を購入してるゆとりはありませんよ!官僚諸君!