リーマン、AIGの陰と陽

「米FRB、AIGに約9兆円つなぎ融資し株式約80%を取得へ」(2008年 09月 17日 09:11 ロイター )
 関係筋によると、米連邦準備理事会(FRB)は、保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に対し約850億ドル(約9兆円)のつなぎ融資を実施し、株式を約80%取得する方針。
米政府は、なぜリーマンは切り捨て、AIGには手を差し伸べたのでしょう?
その答えになるか分かりませんが、以下のエピソードがあります。

10年前にロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)というヘッジファンドが破綻しました。当時ソロモン出身の「投資の神様」と「ノーベル賞学者」が作ったデリバティブ取引プログラムで一世を風靡しましたがあえなく破綻となり、その影響の大きさから米金融業界は資金を拠出して金融危機を乗り切りました。
その中で出資を嫌がったのは、ベアスターンとリーマンブラザースです。その2社が今回市場より退出しました。
財務長官ポールソン(元ゴールドマンCEO)からしてみれば、金融システムの担い手でありながらシステム維持に責任を負わない会社が、今度は自分のところが危機だから助けてくださいといっても、助けないのは、当然の判断なのでしょうね。
欧米では極めて並列意識が強い社会でもあります。独りよがりは許さない風土が根強く残っています。
例えば、サッカーのルールに「オフサイド」というものがありますが、これは狩猟民族の名残で獲物を狙う際に「一人勝ちを許さない」という並列意識の裏返しです。
他にも色々な複雑な事情があるのは確かですが、10年前のLTCM破綻時の恨み辛みが金融界、そして政府内にも根強く残っていたのも確かでしょう。