東北巡行 〜東日本震災被災地を巡って〜 後記

今回、福島−宮城−岩手(三陸)の被災地を巡って己なりに感じたことを纏めてみます。
 
1、原発の是非

  これに関しては震災以降は一貫しているのですが、個人的には廃止、廃炉の前提が望ましいと考えます。必要性を認めつつも「リスクの方が大きい」ことが計らずも今回の震災で立証されたのですから止むを得ないと考えます。
  無論、その代替エネルギーの確保の点では一朝一夕で成し得るものではないことは承知しておりますが、一事業所の壊滅的な被害で一行政区画(福島県)の存続に関わるのですから。
  日本における発電電力量の30%を原発に依存しておりますが、従来からの火力、水力、そして再生可能資源(風力、地熱、太陽光、潮力)などで賄えないものか、真剣に議論すべきと思います。

  今回福島県では郡山市にお邪魔したのですが、福島第一原発から80km離れた郡山市においても放射線量は十分に低いと言い難く(1µSV前後、HotSpotに於いてはそれ以上)、今後の健康被害が懸念されます。
  「ただちに健康に害を及ぼさない」はその通りでして数年後に現在の乳幼児を中心として蝕んでいくであろうと言われております。

  郡山市に限らず、福島県全土での住民の健康チェックはどうあるべきか? 被曝線量の安全基準はどうあるべきか?
ましてやその法的裏付けをどうするのか? 課題は山積です。



2、震災被害の現状と復興・復旧への課題
 、
  A 交通
   震災から6か月経過した現在、道路に関してはほぼ復旧しているようです。
   ただ、至る所工事中であり、道の陥没、波状化からの復旧はまだまだ時間を要すると思います。
   鉄道(三陸鉄道)に関しては現状復旧の目途すら立っていません。
 
  B 通信
   ケータイを中心とした無線インフラはほぼ問題はありません。
   通話に窮する様なことはありませんでしたが、一部キャリアではパケットが流れないなどの障害は起きているようです。
   固定電話に関しては無論地震、津波で壊滅的被害を受けておりますので望むべくもありません。
   それ以前に住宅を再建しない限り復旧に着手出来ませんよね。
 
  C 交通管制
   至るところで他都道府県警の応援が出てまして、「手旗信号による交通管制」が行われています
 
  D 産業
   三陸は日本でも有数の漁獲高を誇る漁業の地です。
   6月以降各漁港で水揚げを再開しておりますが、生魚だけが流通している訳ではありません。
   宮古、釜石、大船渡気仙沼、石巻は食品加工業のメッカでもあります。
   魚を獲る→加工(下ろす)する→内臓が出る→肥料会社へ と言った食品加工の循環がいまや成立出来ないので、漁獲だけを語る訳にはいかないのです。
   ましてやそれら産業の各社は壊滅的被害の状況です。
 
  E 行政
   被災地では行政機関も無論被災しております。
   住民の移動、職員の罹災、庁舎の崩壊・・・etc.により十分な行政サービスを行えないのが実情です。他自治体からの応援も継続しています。
 
  F 住居・生活
   まだまだ避難所暮らしも残ってはおりますが、仮設住宅の建設ももちろん進行中です。
   また借り上げ住宅への補助金の導入(約9万円)により一般のアパート・マンションへの入居も促進されているようです。
   ですが、沿岸部(ほとんどが市街地)の壊滅的被害により住居と職場を失った方は数知れず、街の復興→産業の復興→収入の確保と言った道程には程遠いです。
 
(眠くなりましたので、続きはあらためて)